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今年も絵画キルト作品展が始まりました!

原田泰治氏の絵をモチーフに作られた絵画キルト。
2020
年まで当館を代表する公募展として多くの方にご参加いただいておりました。今年は今までの応募作の中から、3名の出品者にスポットをあて初入選から最優秀賞を受賞された軌跡を辿ります。3回の最優秀賞受賞を果たし殿堂入りされた滝澤きみ子さんをはじめ、常連出品者であり、数多くの賞を受賞された小川厚子さん、脇澤眞樹子さん、3人の個性あふれる作品をたっぷりとご紹介しています。

絵画キルト大賞では、布と綿と布を三層で縫い込んだキルト作品であること、一辺が150㎝以内であることというような規定はありますが、原田作品を表現する方法はこれ!というものがありませんので各々の出品者が作品を理解し、表現方法を試行錯誤して出来上がっています。同じ空の表現でも沢山の方法があり、作者それぞれの表現を見比べるのも楽しみの一つではないでしょうか。

今回は開催中展覧会より
滝澤きみ子さんの第7回最優秀作品[ザグレブの昼下がり]をご紹介します。


原画は原田氏が1987年にクロアチアの首都ザグレブを描いたものです。

まずは空を見てみましょう。

原田氏は絵を描く時に空から描いていきます。
次に遠くの物から順番に手前へ重ねて描いていく、滝澤さんもそれを意識して布を重ね、絵に奥行を出しているそうです。
原画は太筆で綺麗なグラデーションの空を描いていますが、布と糸ですとどうしても重くなってしまうことがあります。審査会でも空の表現について、キルティングステッチを風がそよぐように入れたらなど、審査員の先生方が様々なアドバイスをしてくださいます。このザグレブの空は、雲の部分が微妙に色の違う複数のアップリケで表現されています。その上から空全体に統一感を出すようなキルティングが施され、ところどころキルティングが密になったり、糸の色を変えたりと空の表情を豊かにする工夫がたっぷりです。

次は建物の壁です。

壁はよく見ると様々な色のパーツが集まった上に刺繍で壁の特徴を表現しています。
レンガなら茶色の布の上にブランケットステッチを、漆喰の壁でしょうか右の壁は少し落ち着いたキルティングステッチが入っています。窓は黒い布の上に一枚の布をくり抜き作られた枠をアップリケしています。
アップリケをまつる奥たてまつりもとても丁寧です。

 

そして前方の樹木の部分。
緑の布パーツの上に、ぎっしりと刺繍が施されています。
上部はフレンチノット、下の方はレゼーデージーステッチのような刺繍が、色を変え重なり絵に深みを与えています。

原田氏の作品を再現するために、多種多様なテクニックと素材が用いられている絵画キルト。
現在展示中のその他の作品も、見ごたえのあるものばかりです。
ぜひ間近で細やかな美しい技術と、手仕事のあたたかさを感じて頂けたら幸いです。

企画展[原田泰治の世界をキルトで遊ぶ 絵画キルト作品展 ―3つのものがたり―]
は来年4月7日(日)まで開催致します。

展覧会詳細はコチラから⇒絵画キルト作品展のご案内

 

 

原田泰治公式ウェブサイト

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